がもがもミシュガット

この世の全ての物を独断と偏見で適当に採点する!


スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています


スポンサードリンク [ - ] -
告白
告白告白湊 かなえAmazonで詳しく見る by G-Tools


 最愛の子どもを自分の務める中学校の敷地内で亡くしたシングルマザーの教師が、終業式のホームルームで、自分が教師をやめること、そして、事故として聞いていると思うであろう生徒の今回の件は、実は殺人事件で、その犯人は、この中に居るということを話し始める…と言うモノ。

 これだけでも、グイッと惹きつけられる話だと思う…けど、読み出したら、そんなものでは止まらない。朝の会社へ行く電車の中で読み始めたら、もう後が気になって、結局、その日の夜、家に帰ってからも読み続け、その日のうちに読み終えてしまったくらい。

 全6章立てとなっている構成は、この教師の告白から始まり、その後、そのクラスの学級委員長の女の子がその教師へ向けた雑誌への投稿文、犯人である中学生の母親の日記、そして犯人の告白と語り手が変わっていく。他人から見えているものと実像との違い、ほんの少しずつのズレが判明するごとに、言いようのない閉塞感と嫌悪感を与えてくるのである。そう、嫌悪感だ。でも、読み進めたくて仕方がなくなる。そんな小説である。

 冒頭の第一章は、小説全体としてはプロローグ的なものであるのだが、それだけをとっても短編小説としても完成度が高く、第一章だけでも、きっちり完結している。むしろ、他の章の方が、この第一章から考えられたものではないか…というくらい。他の章は、事件のその後が描かれたりもしているんだけど、どこか散文的で、事件を多角的に見えるようなものに過ぎないと読めなくもない…と思ったりもしたんだけど、最終章を読むまでは。

 この作品はミステリではない。前述のとおり、事件の犯人は冒頭で語られるからだ。じゃあ、単純にサスペンスなのかというと「えっ!?」と時折、驚かされる。そもそも、サスペンスと言うのには散文的で、語り手も変わっていく。ただ、語り手が変わるごとに「分かった風で」、それぞれの語り手が相手を見ているのに同調している自分がいて、いざ当の本人が語り出した時、「分かった風」だった自分に嫌悪感が残る。あるいは「告白」という形でありながらも、故意に、または深層心理からくる「自分を良く見せたい」という「ちょっとした虚構」がミスリードを加速させる。

 リアリティに欠ける、ミステリとしては平凡などという意見も見受けられるけど、個人的には、そうは思わない。この閉塞感と嫌悪感に対する好みならまだしもね。読後感は、ハッキリ言って悪い(苦笑)。グッタリと疲れる感じ。この救われない感じがリアリティ(単純に結末だけを指すもんじゃなくて)として感じ取れてしまうのは、よほど社会を斜に構えて見ているから…ではないと思う。本当にそれが人間社会だからだと思う。

 私も人付き合いの中で、人を分析する。これは多かれ少なかれ、無意識のうちにでも全ての人が行っていることだと思う。そして、統計的に「こういうタイプの人間だ」と決めて、その中で対応していく訳だ。でも、タイプ的な行動を続けて取ったからと言って、心理的にその人が「こう思っているに違いない」と判断することが、いかに危険なことなのか。人はちょっとしたことで変わるのだ。特に悪い方に変わるのなんて簡単だ。自己暗示能力も他の動物とは比べ物にならないんだから。

 とにかく、面白いことは折り紙付きだと思う。よほどミステリ擦れしていて、ミステリとしてしか作品を捉えられない人とか、内容に嫌悪感を抱いてしまう人とかでなければ。そんな訳で評価の方は…

 ★・★・★(三つ星)

 …ということで。独白という形なので、非常に読み易いし、あっと言う間に取り憑かれて、ページをめくり続けるんじゃないかと。


gamou [ [ 書 籍 ] 小説 ] comments(0)
スポンサーサイト

スポンサードリンク [ - ] -









↑PAGE TOP